酒処 はちわれ

わたしの お酒のおつまみ

冬木の下でゴッホ展

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1月11日、土曜日の晴れのち曇りの寒い日、上野の森美術館で行われている「ゴッホ展」を観に上野まで古い友人と出向いた。1日歩き回っては疲れてしまって、せっかくのゴッホ展を見逃してしまいそうなので、昼頃からゆとりを持って出掛けることにした。紺色の一面ボア素材のジャケットを羽織った。1年前からお気に入りのジャケットだ。 

 

お昼は、「吉野家」で十数年ぶりに牛丼をかきこんだ。とろりと輝く濃厚な温泉卵と、飴色の牛肉を混ぜて食べる。無言でせかせかと、よく噛み締めもせずにひたすらかきこむ。こういう庶民的で地味な食べ方にこそ、幸せが詰まっていると思う。

 

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上野につくと、公園をぐるっと一周する、ぎょっと驚くほどの長蛇の列ができていた。まさか、ゴッホ展の列じゃないよな?予想は当たり、会場に入るまでになんと60分もかかると係員の方に伝えられた。この寒空の下、60分も待つのかと思うと気が遠くなりそうだが、上野の美しく、かつ寒々しく哀愁漂う冬景色を見ながら、ありふれた人々のなかに溶け込むというのも味があって良い。それに、60分など会話をしていればすぐ過ぎる。気長に待つことにした。お供にスターバックスの限定ビバレッジ、「ほうじ茶クリームフラペチーノ」と「ほうじ茶クリームラテ」を選んだ。わたしはフラペチーノを飲んでみたが、ラテよりもほうじ茶の香りが強く、もったりとした生クリームとのマリアージュが絶妙で、非常に美味であった。

 

思った通り、60分はすぐだった。上野の森美術館は意外にもこじんまりとしていて、ゴッホ展はじっくりと絵画を鑑賞する人でごった返していた。オーディオナビを買おうかと思っていたが、ゆっくり鑑賞できそうにもないので諦めてしまった。

 

さて、肝心の内容であるが、非常に勉強になった。オランダのハーグにて印象派の画家と時間をともにしていた時期のゴッホの柔らかかつ鮮やかで暖かみのある作風も良かったが、それよりも、晩年の精神療養施設にて描かれた作品のほうがとても印象強かった。目に映える鮮やかな強い色と、うねるような画風からは、ゴッホの絵画に対する命を燃やすような情熱と、生きるエネルギーのようなものを、頭を拳銃で撃ち抜かれるような衝撃として受け取ることができた。また、ゴッホの絵は横よりも「縦」の空間を上手く使っている印象であった(素人目ではあるが)。

 

また、ゴッホに多大な影響を与えた人物ということで、印象派の巨匠であるあのクロード・モネの作品や、ルノワールの作品まで拝むことができた。ちょっといやらしい言い方ではあるが、これはお得である。また、ハーグ派と呼ばれる印象派の画家たちの作品も展示されており、その現実を忠実に捉えつつも、情景がより鮮明に描かれた素晴らしい作品たちを、この目で心ゆくまで眺めることができた。

 

展示会を観終わる頃には夕刻になっていたので、せっかく上野に来たからにはアメ横に寄らないわけにはいかない。相変わらずの喧騒の中、良さそうな飲み屋をおのれの嗅覚で嗅ぎ分け、2軒ほど飲み歩いた。なめろう、レバ刺し、月見つくね、生ビールにハイボール。かしらとハツのたれ、タンは塩で。センマイ刺し、白菜のお漬物、シメは明太子おにぎり。繰り返すが、ガヤガヤとした狭苦しい、対して綺麗でないどうしようもないような居酒屋で食べる、どこか古くさい、こんな庶民的な食べ物を、酒を酌み交わしていただく幸せは、とうていお金では買うことができない。

 

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ところで、少し酔った後のお米というのはどうしてこうも美味しいのだろう。何気なく当たり前のように食べるいつもの食卓のそれよりも、酔った時はよりお米の艶や粒の感触、程よい硬さが感じられてとてつもなく美味しいと感じる。わたしの周りには、幸せがいっぱいだなあ。

 

個人的に上野はとても好きな場所である。また展示会があるなら是非とも再び来たい。今日も良い日であった。