酒処 はちわれ

わたしの お酒のおつまみ

白い火葬場Ⅱ

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訳あって、わたしの住む大好きな綺麗な住宅街を抜けて、少し離れた田舎に2ヶ月ほど住むことになった。この1週間ずっと引っ越し作業で、ようやく新しい部屋で一息ついたところだ。

 

正直に言えば新居は、いつも住んでいるアパートよりも断然新しいし広いしセキュリティも整っているし、スーパーやコンビニも近いし、住むには好都合だ。古くても普段大変気に入っているあの狭いアパートがあまり恋しくなくてそんな自分が少し嫌だ。あのアパートには5年もの月日が詰まっている。

 

さて、新居に入るにあたり、わたしにとって一番大切なのはお風呂場である。お風呂はわたしの生活において大変重要な役割を果たしている。わたしの中ではあの空間は、単なる垢を落とす為の場所やリラックスの場所ではないのだ。長い長い1日を終える場所であり、今日会った人たちの顔を思い浮かべて空を仰ぐ場所であり、わたしの頭の中にさまざまなアイデアや色々なものの形が次々と浮かび上がる場所なのだ。これほど神聖な場所は恐らく無い。新居もそれはそれは丁寧にお風呂場を見渡し、なるほどね、こんな感じね、と納得してみせた。

 

まず、洗面台と洗濯機のある空間。洗面台は2面鏡になっていて綺麗。洗濯機のすぐ横にはタオルなどを保管できる棚があり便利だ。引き戸を開け浴室に入ると、低い位置に小さな四角い鏡がポツンと白い壁に貼ってある。その右隣には、上下に2つシャワーホルダーがあり、そのうちの1つには形がちょうど良いのでカミソリを掛けてある。お湯加減は赤と青の蛇口で自ら調節するタイプだが、なにせガスが熱すぎて話にならない。台所の蛇口も同様だ。冷たいか熱いかの2択しかない。浴室が綺麗なだけにこれだけが非常に残念だが、季節的にもこの辺りの気候的にも今は水洗いで丁度良いので気にしない。浴槽は横幅が広く、縦幅は以前のアパートと同じくらい。寝転がって脚が飛び出るくらいの、よくある一人暮らし用の浴槽だ。ガスが熱すぎるので程よく水を足し温度を調節する術を取得しながら、以前のアパートよりも白く輝く私専用のこの棺桶に浸かる。熱い。汗が噴き出るが自律神経を整えるには丁度良いだろう。人生において、棺桶が2つもあるのはきっとこの世界でわたしだけだろうし。